トグル 文化と教育の先端自治体連合

大会レポート② 【基調講演】 コミュニケーション教育をどう学校教育とつなげていくのか。
~子ども達の非認知スキル向上のために~ 青山学院大学 苅宿俊文教授[前編]

2021.02.24

各構成自治体ではこれまで、既に演劇的なワークショップなどを活用したコミュニケーション教育を行ってきています。今回の基調講演では、このコミュニケーション教育を教科教育に生かしていくために、「非認知能力」に着目したお話を、青山学院大学の苅宿俊文教授(以降、苅宿教授)にうかがいました。

 
苅宿流・学習指導要領の「趣旨」解説~対話が必要

苅宿教授は文部科学省の「学力の3要素」を上のように整理して、主体的に取り組む「態度」は学ぶことを自分ごととしてとらえる習慣であり、他者と対話することでいろいろな視点から学び直すことができるから、深い納得感を得ることができる」と解説しました。

対話的・主体的とはなにか
 
また、苅宿教授は「主体的・対話的ということは、「学ぶことを自分ごととしてとらえて、ほかの人からいろいろな視点を学び、深く納得することが重要である」としている。コミュニケーション能力のような正解が一つでない非認知能力を育てていく際、演劇のようにいろいろな立場を演技として経験することを生かして、他の人と話し合いながら劇を作り上げていくときには、さまざまな場面でお互いに納得した「納得解」を生み出していくことができる。このように納得する経験をより主体的・対話的に得ることができるのが「コミュニケーション教育」であると話しました。


「時間のかかる教育」がある

苅宿教授はさらに、非認知能力を育てていく際の特徴として、「自分なりに積み上げる必要があるので、体験数が大きく影響する」こと、「更に個体差が加わるため、知識や技能に比べて、一定の時間がかかる」ことから、「時間のかかる教育」だと述べ、「時間がかかる=非効率ではない」というということに注意しながら「9年間かけて育てていくことが重要」だと指摘しました。
[後編]に続く