トグル 文化と教育の先端自治体連合

大会レポート③ 【基調講演】 コミュニケーション教育をどう学校教育とつなげていくのか。
~子ども達の非認知スキル向上のために~ 青山学院大学 苅宿俊文教授[後編]

2021.02.26

続いて、苅宿教授のお話は、「非認知能力を教科教育にいかに結び付けていくことができるか」という視点に移っていきました。

演劇ワークショップと自己調整学習
 
苅宿教授は、いち早く演劇のワークショップを取り入れている豊岡市や鹿野学園(鳥取県)の例を引きながら、演劇ワークショップと自己調整学習の関係性に触れ、「一見遊んでいるように見えるかもしれないが、演劇のワークショップを何度も行うことで、様々な領域の『経験』が循環し身につき、自信につながる」とし、そのことが「主体的な学習者を育成する『自己調整学習』に繋がる」と述べました。「能動的、積極的に自分から関わる学習方略、先生や友人たちからの評価、自分自身の評価が、自己肯定感や学習意欲を高めていくことになり、それが動機付けとなる」と。
 
苅宿教授はまた、その際の重要なポイントとして「加点法」を挙げ、「褒めるだけではなくて、具体的に説明していくこと、問題を解決させることが大切」だとし、「教育者は子どもたちに対して明確なビジョン、枠組みを与えなければならない」と指摘しました。
 
 



非認知能力で伸びた力を教科教育に繋げる
 
苅宿教授は最後に、「非認知能力で伸びた力を教科教育に繋げることが大切」だと語りました。
「子どもたちの主体性を育てるには、アクティブラーニングや、対話的な学校教育を生成させることが必要で、それぞれの配置を理解しながらコミュニケーション教育を行うことで、主体的で対話的な深い学びになる」とし、さらに「学校で非認知能力、表現力・思考力、コミュニケーション力を学ぶ機会を与えて貰った、ということが大事」だと述べました。
  
非認知能力の重要性においては、本連合でもこれまでに取り組んできたコミュニケーション教育に「どのように取り入れ評価していくか」「どのように学校教育と繋げていくか」ということについてずっと議論を重ねてきました。今回の苅宿教授の基調講演は、参加者にとって、改めてそういったことを考えるための貴重な機会になったのではないでしょうか。