大会レポート②|文化と教育の先端自治体連合[第3回大会@オンライン開催]
2022.03.08
コミュニケーション教育の意味 -青山学院大学 苅宿俊文教授 -
続いて、非認知能力向上事業の教育効果を考えるため、豊岡市、奈義町、小豆島町で実施されたアン ケート調査の結果が、青山学院大学の苅宿俊文教授により発表されました。 苅宿教授は「コミュニケーション教育の意味を共有し、教育現場で利用すべき価値を整理する」ことを 目的にアンケート調査を実施したと述べた上で、それぞれの調査結果を次のように示しました。
本大会には青山学院大学の苅宿俊文教授、芸術文化観光専門職大学の川目俊哉副学長をゲストにお招きし、加盟5自治体から首長、教育長、教職員など総勢35 名が参加しました。
豊岡市での調査
非認知能力、特に社会情動スキルや生きる力にフォーカスして、「やりぬく力 (自己効力感)」「自制心」「協働性」の3つの力を調査したところ、統計学的 にはっきりとプラスの変化があった項目として、令和元年度は「自己効力感」 「自制心」「協働性」が、令和2年度は「自制心」「協働性」が挙げられる。 苅宿教授はこの結果より「演劇ワークショップは常に普段の授業より非認知 能力に効果的な実践だということが認められる」としました。
奈義町、小豆島町での調査
コミュニケーション教育を自己調整学習に結びつけるため、「自己効力感」 「メタ認知」「協働性」の3つを調査したところ、2町に共通してはっきりと プラスの変化があった項目として、「協働性」が見られ、他者理解や関係 調整、協働期待感などコミュニケーション教育の特徴が示された。ほかに、 プラスの変化があったのは、奈義町・小豆島とも「自己効力感」となり、 一方、奈義町での小学4年生では「メタ認知」に変化が見られなかった。
これらの結果より、苅宿教授は、「教育効果が『協働性』から現れていく ことが分かった」とした上で、学校ごとの指導の特色が非認知能力に反映 されているのではないかという仮説を立て、「継続的に検証していきたい」 と述べました。

「学び合い」は公立の教育機関でこそ
調査に協力した自治体からは「リーダー的な教職員の育成につなげたい」「議会へリアルなレポートとして説明したい」などという感想が示され、結果を知った他の自治体からは「コミュニケーション教育の効果が具体的に見えてきたことが良かった」「これから導入を検討するための参考になった」という声が聞かれました。
これを受けて平田オリザ総合アドバイザーは「実は『学び合い』は公立の教育機関だからこそできる」「いろいろな生徒がいて、その全員を活かすのが演劇ワークショップだ」と述べ、取り組みと検証を継続することが重要だとしました。

